地域おこしの達人――齋藤栄子さんに聞く<下>
梨姫は、県職員として現場をまわり経験を積んでこられ、
そこで培ったノウハウを引退後に角田で還元してくださった第一人者が
齋藤栄子さんだと尊敬しております。
さて<下>では、「これからの角田のために」を語っていただきました。
――みなに喜ばれるおまつりを目指して――
いろいろなおまつりを開催して心がけていることは、
「お客さんに喜ばれるおまつり」にしたいという思いです。
その思いをこめた「梅もち」、ずんだ祭りでの「ずんだもち、ずんだおはぎ」、
ひなまつりでの「梅あられ」「牟宇姫甘酒」など、
ここでしか食べられないオリジナル作品を提供しています。
またおまつりの体験コーナーでは、新鮮な梅を使った梅酒づくりをはじめ、
梅サワー、カリカリ梅なども設け、人気の場所となっていますね。
参加したお客さまからは「来年もまたくるね」と笑顔で感想をもらうのが
とてもうれしいのです。
教えるメンバーはもちろん、優れた技術をもっている角田の女性たちなのですよ。
「こめ、まめ、うめのコンテスト」を提案してきました。
ただ開催するだけじゃなく、優勝した料理を市内のお店で出してもらって、
その際コンテスト入選作品ですとPRしてもらいたいということからスタートしたのです。
今年でコンテストは4年目。ぜひ角田産食材提供店をはじめ、
経営者の方々にもっと当日来てほしいですね。
メニューを改善したいという際の参考になるのではないでしょうか。
ひとつ提案ですが、「味を評価するモニターリング制が確立」されるといいと思います。
角田市に何人かいてもいいのではないでしょうか。
あるいは食の専門家からアドバイスを受けるとか、
まだまだ改善の余地があると思います。
店主の一生懸命さというのはお客さんに伝わるもので、
必ず味に反映されるのではないでしょうか。
――体験型観光のさらなる展開――
何年か前から、角田にはさほど大きな観光資源がないから、
体験型観光をとり入れてはどうかなと提案していました。
ごぼう掘りとか、いちじく獲り、枝豆の刈り取りとかです。
同時に各地区に女性のボランティアを組織して必要な時に
お手伝いをお願いしたらどうかとも提案していました。
体験型なので、当然体験する場所が必要です。
梅干しを漬けたい、味噌を作りたいという消費者がいらっしゃるので、
各農家でやるのは大変だから、農村婦人の家(角田市豊室)を利用しようと。
30年は経っている施設ですが、農村の女性の地位向上のために国の予算で県内に
数か所できたものです。共同加工できる施設もあるので、
老朽化のため修繕をして、梅干し、味噌づくりの体験場所として
さらに活用したらどうかと思います。
現在でも時々使用するのですが、もっと定期的に実施できないだろうか。
秘伝豆やミヤギシロメで味噌を作る。梅干しなら年3回来てもらえばいいんです。
まず、梅を収穫し、漬け込む。2回目は本漬けに、3回目は干す。
できたら宅配してもいい訳です。
その都度、角田のどこかで食事をしてもらうなど、何かと結びつけれてもいいですね。
自分の名前がついた梅の木があって、
そこから収穫して梅干しをつくるのもおもしろいのでは。
今どき都会のマンションは置き場所に困るから、
必要な分だけを取りにくるとか。一人の所有が無理ならグループで。
梅干しマイスターが力を貸してくれます。味噌用の豆もだいぶ余っている。
消費者と農家の人ととの交流があれば、
お互いにメリットがあるのではないのかなと思います。
――手づくりおもてなしのさらなる普及――
角田でイベントが盛んに行われていますが、
市民レベルの活動になることが何より大事だと思います。
牟宇姫ひなまつりでは、郷土資料館を中心にして
地元の人たち、老人会や商工婦人部の方々が手をつないで、
まつりを盛り上げていけたらいいなと願っております。
市内、各自治センターのいい動きは確実に見えてきていますね。でもあと一歩。
おもてなしは「角田市長期総合計画100万人の交流を目指す」の核であり
西根のボランティアのお母さんのような
手づくりでもてなす活動がもっと広がるといいなと思っています。
今回「あったかくだ体験ツアー・ごぼう掘り」での東根地区の方々の活躍も素晴らしいし、
各地でやる気が出てきていると感じています。
私も微力ながら応援していきたいと思います。 (了)